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瀬戸内国際芸術祭2025 ― 湿板写真が現代アートへ

更新日:2 日前

こんにちは、あかつき写房の本田です。

この秋、私たちが湿板写真で制作に携わらせていただいた作品が、瀬戸内国際芸術祭2025にて展示されています!


作家は、美術家の 小枝繁昭(こえだ しげあき)さん。

長年にわたり、ペイントと写真を組み合わせた独自の作品を発表されており、これまでもフィルム写真やデジタル写真を取り入れながら、写真のもつ物質性や時間の層を探求してこられました。そして今回、その表現の最新章として「湿板写真」を選ばれました。



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あかつき写房で制作中の小枝さん


出会いと、3年越しのコラボレーション


私たちが小枝さんと初めて出会ったのは2021年。ちょうど前回の瀬戸内国際芸術祭2022への出展準備を進められていた時期でした。実はその頃にも湿板写真とのコラボレーションの話があったのですが、最終的にはタイミングが合わず実現には至りませんでした。


それから3年後の春、小枝さんから突然のお電話。

「今度こそ湿板写真で一緒に作品をつくりたい」とのお話でした。そこから話は一気に進み、春にはあかつき写房で花とペイントをモチーフにした作品を制作。夏には、高見島での展示に合わせて小枝さんと、展示会場のオーナーでありモチーフの花の栽培をされている 山野さん のポートレートを撮影させていただきました。



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湿板写真がもたらす新しい質感


今回の作品では、私たちが制作した湿板写真のガラス原版をもとに、サビア奥村さんによる超高精細スキャン、そして大判プリントが行われました。


湿板写真は、銀の粒子が生む偶発的なノイズと、レンズ越しに写る空気の密度が特徴です。その独特の質感は、デジタルやフィルムにはない「存在感」を持っています。


展示では、そのガラスの原板とともに、巨大なプリント作品が古民家の空間に並びます。

モノクロの湿板写真が、小枝さんの鮮やかなペイント作品と対峙し、静けさと力強さをあわせ持つインスタレーションとして成立していました。


テスト段階では何度かプリントを拝見していましたが、最終展示で見る作品は、まるで時間そのものが写り込んでいるような奥行きを感じました。


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高見島で出会う、湿板写真の新しいかたち


展示会場となっている高見島は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島で、古民家をリノベーションした空間が点在し、それぞれが異なる作家の展示スペースとなっています。


狭い坂道を登ったり下りたりしながら、島の生活や記憶に寄り添うように作品を鑑賞できるのがこの島の魅力。小枝さんの展示も、そんな風景の中に静かに佇み、訪れた人に深い余韻を残します。




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湿板写真を現代に


今回のプロジェクトを通して改めて気付かされたのは、湿板写真という古典技法が「懐古」ではなく「今の表現」として通用するということ。湿板写真という技法が新しい命を得る瞬間を目の当たりにしました。


最後になりましたが、私たちと小枝さんを引き合わせてくださった、サビア奥村さん、展示会場オーナー&お花栽培の山野さん、高見島でお世話をしてくださった石村さん、菅原さん、そして作家の小枝さん、本当にありがとうございました。

皆さまのおかげで湿板写真が現代アートのステージに上がることができました。これからもまた湿板写真の新しい可能性を探っていきたいと思います。



展示は 2025年11月9日まで。

ぜひ、高見島で実際に湿板写真の質感を体験してみてください。


瀬戸内国際芸術祭2025 高見島会場

作家:小枝繁昭 → https://www.koedashigeaki.com/

会期:2025年11月9日まで


湿板写真とコラボレーションをご検討の方は気軽にご相談ください


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