湿板写真の自宅制作を考えている方へ
- akatsuki-shabou

- 11月7日
- 読了時間: 4分
更新日:11月17日
こんにちは、あかつき写房の本田です。今日は「湿板写真の自宅制作を考えている方へ」というテーマで、少し踏み込んだお話をしたいと思います。
ワークショップを受講された方や、展示などで湿板写真をご覧になった方から、「いつかは自分の家でもやってみたい」という声をよくいただきます。
しかしながら、いざ実践となると、湿板写真を自宅で再現するにはそれなりの準備が必要です。ここでは、その「壁」と「工夫の余地」についてできる範囲で具体的にご紹介していきます。

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湿板写真 自宅実装の壁
■ 薬品の入手
湿板写真では、像を定着させるためにいくつかの薬品を使用します。これは一般的な現像用のものも一部使いますが、ほとんどが量販店で買うことができません。なので地域によって最適な入手方法が違ったり、入手困難なものがあったりします。まずはお住まいの地域で「どこからどうやって手に入れるのか」を調べることが第一歩になります。ワークショップの参加者さんには直接相談にのって、お手伝いをさせていただいています。
■ 暗室の整備
暗室というと本格的な設備をイメージされる方も多いのですが、湿板写真の場合は、フィルム現像ほど厳密な遮光は必要ありません。多少の光漏れがあっても大丈夫です。暗室の中に水場も必要ではありませんので、薄暗い部屋と赤色のLEDライト(感光しないもの)さえあればここのハードルは意外と低いです。
■ 機材の調達
湿板写真では、ガラス板を感光液に浸すためのケースや、薬液を扱うためのトレーなど、専用の道具が必要になります。ただし、これらの多くは流通していないため、自作が基本になります。ワークショップでは道具を触って構造から理解してもらい、参加者の方が後にご自身でアレンジできるように工夫しています。カメラはnew moon シリーズをお使いください。蛇腹のついた大判カメラに慣れていない方には特におすすめです。
■ 薬品の管理
一部の薬品は温度変化に敏感なため、保存環境に気を配る必要があります。一般的な冷蔵庫では管理できないため、ワインセラーなどを専用の保管庫として利用する方もいます。安定した環境を保つことで、再現性の高い結果につながります。
■ 廃液処理
撮影後に出る使用済みの液体は、一般の排水には流さず、きちんと回収して処理を行う必要があります。多くの場合、産業廃棄物処理の業者に委託して処理をお願いする形になります。このあたりの環境面の意識も、湿板写真を続ける上では大切な要素です。こちらもお住まいの地域によって対処方法が異なります。
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自宅でやってみたい方へ
ここまで読むと「ちょっとハードルが高いな」と感じる方もいれば、「工夫すればできそう」と思われる方もいると思います。
どちらも正解です。
湿板写真は、やり方次第で自宅でも実現できる技法です。ただし、それぞれの環境に合わせて環境を整える必要があります。複数名で取り組む場合は薬品のロスを減らせたり、作業を分担できるというメリットもあります。
これまでにも、ワークショップ受講後に自宅で環境を整えて撮影を続けている方を何名も見てきました。皆さんそれぞれ、身近な素材を工夫して少しずつ環境をつくり上げています。その過程こそが、湿板写真の楽しみのひとつかもしれません。
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はじめの一歩として
私たちのワークショップは、単に撮影体験をして終わるものではなく、「自分にとって現実的に続けられるかどうか」を見極めるための機会として設計しています。そのため、ワークショップ受講後のファーストゴールは、あかつき写房を制作ラボとして使ってもらうこととしています。実際に展示向けて通って制作される作家さんも複数名おられます。
自宅制作を目指す方には、経験をもとにアドバイスやサポートも行っていますので、まずは一度、実際に体験してみてください。実際に手を動かし、においや光、手触りを感じてみることで、湿板写真の世界がより身近になるはずです。
湿板写真を自宅で実現することは決して不可能ではありません。大切なのは、安全に、そして楽しみながら、少しずつ環境を整えていくことです。
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ご興味のある方は、ぜひワークショップのページも覗いてみてください。未来の“自宅暗室”のヒントがきっと見つかるでしょう。

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