こんにちは、あかつき写房の本田です。今日はコロジオンという薬品について書いてみようと思います。最も調合が複雑で、温度や湿度など、少しでも条件が変わると意図せず違う結果が出てしまいます。ちょっと厄介な薬品のようですが、どのように向き合えばいいのでしょうか、、、新旧の薬品を比較しながら答えを探っていきたいと思います。それではどうぞ。
湿板写真の画像の仕上がりに、最も大きな影響を及ぼす薬品がコロジオン溶液です。湿板写真を作るには、まずガラスの上に膜を作らなければならないのですが、このコロジオン溶液がガラス上で薄く固まって膜となります。→ガラス感光板の作り方の詳細はこちらの記事を見てください
コロジオン溶液は例えるなら、賞味期限付きのお酒みたいなものです。調合したらしばらく寝かせます。季節によりますが約2週間ほどで使えるようになります。更に熟成が進むにつれて、だんだんと味わいが出てきて、最後は感度が下がったり、膜面が弱くなったりして使えなくなります。
さて、今回は新しく溶いたコロジオンと4ヶ月前に溶いたコロジオンを同じ条件で撮影して比べてみました。
新しく溶いたコロジオン使用(左)と4ヶ月前に溶いたコロジオン使用(右)
ご覧の通り、感度、ラチチュード、それに伴うコントラストが違います。性能でいうと新しい方が良さそうですが、作りたい作品のイメージによっては古いコロジオンを使うのも良いかもしれません。熟成した古いコロジオンにしか出せないニュアンスがあるのです。
古いコロジオンを更に使い続けているとやがて膜面が弱くなってきます。撮影したガラス写真は、脱脂綿で優しく膜面を掃除しますが、撫でただけでも傷が付くようになってきたら、そのコロジオンは引退となります。
レシピや温度を変えることで熟成速度を変えることはできますが、熟成を止めることはできません。また、調合する季節によって、同じレシピを使っても同じ結果が出ないことがありますのでコントロールするのはとてもに難しいです。
作りたい作品によってコロジオンを自由にコントロールするには、相当な経験が必要です。
私たちでも、夏用と冬用を分けるくらいのもので、あとはガラスへの塗布のやり方や、硝酸銀へ浸す時間を調整して出来上がりのムラを少なくしています。
たまに調合を失敗すると、その時に作ったものが全てダメになることもしばしば、、コロジオンの調合は湿板写真を作る上で最難関の試練かもしません。
ワークショップ参加された時は、使用するコロジオンがいつ作られたかもぜひ質問してみてください!
使用カメラ new moon 6×9 撮影データ f22 、30秒
2024年8月17日に湿板写真を体験できるイベント開催します→詳細はこちら
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