古くて味のある写真のひみつ
- akatsuki-shabou

- 11月15日
- 読了時間: 4分
更新日:11月17日
こんにちは、あかつき写房の本田です。古くて味のある写真ってありますよね。あの独特のトーンや空気感。「汚れているから」「劣化しているから」そう見えると思っている方も多いかもしれません。確かにそれも一理ありますが、実はそれだけが理由ではないんです。
今回はその理由について解説していきます。本文中にあまり馴染みのない言葉が出てきますが、一緒に学んでいきましょう!

2023年に湿板写真で撮影した京都の景色
オルソマチックとパンクロマチック
モノクロ写真の世界には、「オルソマチック」と「パンクロマチック」という2つのタイプがあります。違いは、どの色の光(波長)に感光するか。つまり、フィルムが「どの色を感じ取れるか」という点です。
● オルソマチックとは
オルソマチックは、青から紫外線にかけての光に強く反応し、赤い光にはほとんど反応しません。そのため、撮影すると、青い服や空は 明るく(白く)赤い花や唇は 暗く(黒く)写ります。少し冷たい印象になり、独特の透明感が生まれるのが特徴です。
● パンクロマチックとは
一方で、パンクロマチックは紫から赤まで、人間の目が見えるほぼ全ての色に感光します。そのため、被写体の色に関係なく、より自然な明暗のバランスで写ります。現在のモノクロフィルムの多くはこちらです。

パンクロマチックフィルムで撮影。目で見た印象に近い。
「古写真っぽさ」はフィルムの特性だった
古い写真が独特に見えるのは、単に経年変化や劣化のせいだけではありません。実は、使われていた感光材料そのものの特性が違っていたのです。古い写真の「青白く冷たいトーン」や「黒く沈む赤」は、当時の感光材料がオルソマチック(またはそれより青寄りに反応する材料)だったことに由来します。つまり、古写真の“味わい”は、劣化ではなく、フィルム(厳密に言うと感光材料)の問題だったのです。
自作の乾板で撮影したシリーズ。
湿板写真よりも実際の見た目に近い色ですがオルソマチックに近い
湿板写真はさらに青に偏っている
ちなみに、湿板写真や初期のガラス乾板はオルソマチック、あるいはそれよりもさらに青や紫外線に偏った感光特性を持っています。そのため、赤みを帯びた肌や唇などは暗く沈み、顔全体が黒っぽく、陰影の強い印象になります。
血色の良さはほとんど写らず、まるで血の気が引いたような静けさを帯びた肖像になるのです。これは現代のカメラで撮ったモノクロ写真とは大きく異なり、湿板独特の「時間が止まったような」質感を生み出しています。撮影したのは今日であっても、まるで150年以上前に撮られたように感じられるのは、この感光特性が大きく関係しています。
ちなみに、あかつき写房で婚礼記念や成人記念の撮影をするときは、湿板写真用のメイクを施しています。気になる方はこちらの記事も読んでみてください!
湿板写真
写真の「時代のノスタルジー」
面白いのは、「時代ごとにノスタルジーの色が違う」ということです。
たとえば、1970〜80年代のカラーフィルムには、独特の彩度と粒子感があり、それが“昭和っぽさ”や“映画のワンシーンのような懐かしさ”を作っています。
2000年代のデジタルカメラ初期には、少し硬くて青っぽい画像に“あの頃のデジカメらしさ”が残っている。
そして今、スマートフォンやiPhoneで撮られた写真にも、数十年後の誰かが懐かしさを感じる日がきっと来るでしょう。写真のトーンは時代の「光」を映し出していて、そこに“その時代を生きた感覚”が刻まれているのかもしれません。

ダゲレオタイプ(左)と湿板写真(右)
ワークショップで体験してみよう
あかつき写房の湿板写真ワークショップでは、ポートレート撮影やお持ち込みいただいた被写体の撮影を体験していただけます。デジタルでもフィルムでも見たことのない「古典写真の色」に変換された世界。
あなたがいつも見ている風景や表情が、まるで150年前の写真のように写ります。その“見え方の違い”を、ぜひ実際に体験してみてください。

2023年ごろに湿板写真でパノラマ撮影したもの
※かわうそ商店さんでオルソマチック白黒フィルムが買えます!興味のある方はぜひお試しください!※現像できるところが限られているようですのでご注意ください
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